ニッケル粉末を焼結処理した多孔質金属

ニッケルを用いた多孔質焼結金属体は内部に気孔を有することから、流体を通しながら通電させることができる

Ni粉末の焼結金属(多孔質金属

ニッケルを含んだ材料は日常生活で大きな役割を果たしており,例えば調理器具・携帯電話・医療機器・輸送・建築物・発電など,例を挙げればキリがありません.ニッケル含有材料が選ばれるのは,他の材料に比べて耐食性が高く,耐久性に優れ,高温や低温での強度が高く,特殊な磁気電気特性を幅広く備えているからです.中でも最も重要なのは,鉄・ニッケル・クロムの合金で,この合金によるステンレス鋼(ニッケルは一般に8-12%)が最も大量に生産されています.ステンレス鋼に似ているもののニッケル含有率が高いニッケル基合金は,ガスタービンや一部の化学工場など,要求がより厳しい用途に用いられています.そのほか,鉄とニッケルの合金はエレクトロニクスや特殊工学技術で用いられ,銅とニッケルの合金は硬貨や船舶で用いられています.日常使用されているニッケル含有合金はおよそ3,000種あります.毎年,新ニッケル地金の全体の約90%が合金に用いられ,そのうち3分の2はステンレス鋼となります.金属ニッケルを用いると,『ニッケルメッキ』『無電解ニッケル被膜』『電鋳』といった耐摩耗性の高い装飾被膜や工学被膜が得られます.その最上層にクロムを用いるのが一般に知られている『クロムメッキ』です.炭化ケイ素と組み合わせるのは複合メッキと呼ばれています.ニッケルは,エレクトロニクス・動力工具・輸送・非常用電源などに用いられる充電式電池システムのいくつかで重要な役割を果たしています.今日最も重要なのがニッケル水素(NiMH)です.ニッケルは化学反応の効率を高めるのに使用される触媒の多くにおいても重要な成分です.ニッケル使用量は毎年約4%ずつ増加し,ニッケル含有ステンレス鋼の使用量は約6%の割合で増え続けています.今日,最も急速な増加を見せているのは飛躍的な工業化を進めるアジアなどの新興国です.産業インフラを近代化し,国民の物質的願望を満たすには,ニッケル含有材料が欠かせません.

焼結による多孔質化

ニッケル粉末を焼結処理することにより多孔質化し、複雑に入り組んだ気孔構造とした一例

用途例(電極)

水道水での電気分解の様子。電極は焼結金属フィルターを使用し、材質は負極にニッケル・正極に銅。電圧は角型電池(9V)を使用しました。焼結金属の特性である内部の空孔、当社の特長でもある連通孔により電極内部でも電気分解が起こっていると考えます。

多孔質金属による電気分解
水道水中で陰極にニッケル焼結金属(多孔質金属)、陽極に銅の焼結金網(多孔質金属)を用いた電気分解実験

ニッケル粉末の素材形状例

ニッケル焼結材料
ニッケル焼結材料

製作実例

サンプルについて

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