銅/Cuを使用した多孔質焼結金属は内部に流体を通過しながら通電も可能
焼結金属(多孔質金属)
焼結金属(多孔質金属)は金属粉末同士を焼結処理により金属表面のみを溶着(溶融結合)させ、ノーバインダー製法(バインダーと呼ばれる焼結助剤を用いず焼結処理する製造方法)により製作した純金属のみによる気孔全てが連結した純粋な金属多孔質体です。 また無加圧焼結法から加圧焼結法まで焼結処理の選択が可能ですので用途により製法を選択可能です。粉末の大きさ(粒径)、気孔径、密度等各指標での製作も可能です。
多孔質金属に銅粉末を用いることにより優れた熱伝導性は保持しながらも多孔質体内部に液体・気体を通過させることが可能です
銅(Cu)の特性
純銅(Cu)の特性の最たるものと言えば、加工性の良さと導電性・熱伝導性の良さが挙げられます。銅線の例を見れば分かるように、銀に次ぐ導電性・熱伝導性を持つこの材料は、電気部品、電動機や配線、基盤に数多く使われております。鉄鋼材料とは異なり、極低温下においても組織が破壊されず、低温脆性に優れた材料でもあります。耐食性についても優れた特性を持ち、貴な金属なため、接触による腐食にも強いとされています。一般的には200℃以下で使用し,耐熱性に優れたものでも最高使用温度は250℃~300℃程度となります。反対に極低温では脆化しない為、問題無く使用できます。銅(Cu)は種類別に見ると、純銅・黄銅・青銅・洋白などがあります。純銅(Cu)以外は銅に亜鉛やすず、鉛、アルミニウム,ニッケルなどを単独あるいは複数組み合わせてある銅合金です。前述したとおり、高い導電性・熱伝導性を持っておりますが、純銅(Cu)は多孔質(ポーラス)焼結体という観点からみると非常に扱いにくく、無加圧状態での焼結は不可能とされてきました。それは、多孔質(ポーラス)焼結金属を製造する過程において問題が生じます。純銅(Cu)は,昇温していくと形を留めておく事が出来ず,すぐに溶けてしまいます.すなわち溶けるか溶けないかのどちらかという事になります. 焼結処理には段階があり, 1.金属粉(粒)体の活性化 2.金属粉(粒)体表面の溶融 3.ネックと呼ばれる金属粉(粒)体と金属粉(粒)体の間に出来るくびれの様なものの形成 4.ネックの成長 と,大きく4段階ありますが,純銅(Cu)の場合は②の段階を過ぎると③④の過程を飛ばし,金属粉(粒)体が溶融してしまいます.ですから,多孔質(ポーラス)焼結金属の製造は不可能とされてきたのです.この純銅(Cu)製多孔質(ポーラス)焼結金属を用い,熱拡散機や熱交換器等あらゆる場面で活躍できる事と思います.焼結させることにより表面積の増大へと繋がります.従ってヒートシンク,ラジエータ,熱交換器等の放熱・吸収が求められる部品としては最適です.純銅(Cu)製の緻密焼結体は以前より普通に製造されてきました.それは加圧すればあらゆる条件が変わり,簡単に焼結できるのです.
用途
銅製の多孔質金属は下記の用途での性能が期待できます
- ベイパーチャンバー
- ヒートシンク
- ヒートパイプ
- 除菌が必要とされる各部材(ex.ドアノブ)
- 藻、コケの繁殖を抑制したい場所
種類
銅製の多孔質金属は焼結金属、焼結金網、ファイバー焼結の3種類で対応可能です
焼結金属は、金属粉末を焼結処理により結合させ、焼結体内部に複雑な流路を形成し、空間(気孔)を作りながらも強度を確保した多孔質金属
焼結金網は、金網を1枚から複数枚積層し、焼結処理(金網の線と線を溶着させる)を施した製品である。金網を積層し、焼結処理を施すことにより積層した層と層を一体化することが可能で①強度の確保、②正確な気孔径、③圧力損失の低減をバランスよく適えることが出来る多孔質金属
ファイバー(金属繊維)焼結は、ファイバー(金属繊維)を圧縮成形し焼結処理を施した多孔質金属で、密度をコントロールすることにより強度・圧力損失のバランスを選択できる。厚みは0.3~1.0tと非常に薄く、密度は低い。濾過精度は標準的なモノで3~75μ。特殊仕様で0.5μまで対応可能
製作実績
純銅製のコップ形状(円筒底付で、)外径4mm×内径2mm×長さ10mmの極小サイズ。粒子は300μmの粗大球を使用。この寸法感で使用する粒子径としてはかなり大きい。 銅粉末製の多孔質焼結体を角管内部に埋設。内部構造は自由設計可能で、粉末の形状、粒子径、気孔径も自由設計可能。 銅管を連続的に配置し、銅管同士を焼結技術により接合。粉末焼結体を先端に埋設するように同時焼結することにより、整流・吸水効果を付与。ヒートシンクやヒートパイプに… 銅管を連続的に配置し、銅管同士を焼結技術により接合した製作例。ヒートシンクやヒートパイプに… SUS粉末とCu粉末の異種金属を焼結処理にて一体化した製作例。電気伝導性・熱伝導性に優れたCuと電気伝導性・熱伝導性に劣るSUSながら強度・耐食性・機械加工性に優れた性質を融合することにより得られる付加価値は大きい…ハズ 銅粉末を使用した焼結金属(多孔質金属)の中に渦巻形状に加工した銅管を埋設 銅粉末焼結金属(多孔質金属)と銅板の間に水の通り道(水路)を設置することによりヒートシンクなどの熱交換器部材などの性能向上が期待できる。また、粉末の微細気孔により毛細管現象による吸水機能も期待できる 銅製多孔質焼結金属は球体粉を使用することが一般的ですが、その場合粒子径が小さくなれば空隙率も低くなりますが、特殊用途として、気孔径は小さくしたいが空隙率も高くしたいという相反する要求がございます。その相反する状況を覆した製品 粒径100μmの銅粉焼結体(1mm厚)と5mmの銅板と同時焼結 銅粉末と銅板を同時焼結により交互に焼結処理した多孔質金属。毛細管現象を利用してベイパーチャンバー(ヒートシンク)やヒートパイプに 銅粉末の焼結体の間に銅板を挟み込み、同時焼結を試行 銅の焼結金属(多孔質金属)において寸法は同様で粒度を50μm、100μm、500μmを比較。用途により最適な粒度を導出することが課題である 材質に銅粉末を使用した極薄0.2mm(200μm)の焼結金属・多孔質金属。気孔構造は複雑構造で気孔が連結した連通気孔なので毛細管現象の機能も期待できる 銅の焼結金属(多孔質金属)ですべての気孔が連続した連通孔。最大寸法の250×500 粒子径100μmという微小粒子径ながら空隙率約60%を誇る多孔質金属。焼結金属という製造方法の特長でもあるが、複雑な形状が造形できるのがポイント 銅製の粉末焼結金属フィルターに段付加工を施した製品。フィルターとしては大きな部類。単純な様で中々奥が深いモノ 銅ファイバー(金属繊維)の焼結金属 純銅製の金網を積層し、焼結処理した製品。金網の構成を複数型、単一型など構成は正に自由自在である。用途に応じて選択可。 銅の焼結金属で四角形状の多孔質金属 銅製の円柱形状の多孔質金属
寸法について
銅粉末を250×500×t5にて焼結処理したビッグサイズ(500×250×t5)の焼結体